2015年2月13日金曜日

WANTED 何方かこのご家族覚えないですか

WANTED
どなたか、このご家族見覚えないですか
よしおちゃんは是非会いたいんです



つかの間の僅かな青空に誘われて屋外に飛び出した。
円山川の土手、小さな堰がある。
そこがオレの定位置。そこで煙草を吸う。


県道3号線がお宿『街山荘』の前。
ひっきりなしに車が行き交う。
昼間、騒音を聞きながら閉ざされた空間より
洋々と流れる円山川、対岸の低い稜線。
青空の下でのタバコは美味い。


ところが直ぐにはタバコは吸わない。
河口に向かって約200m、足を左右に交差させ体を大きく捻り歩く。
その負荷が並のウォーキングより何倍も跳ね返り汗をかく。
そして丹念に執拗な色んなストレッチ。
帰りは横蹴り、前蹴り、回し蹴りを左右に60回。
更に汗をかく。短距離でかなりのトレーニングになる。

それから土手の柵に腕を預け腕立て伏せに数種類のトレーニング。
はぁはぁと激しい息を腹式呼吸で整えて
そこでやっとタバコを吸う。
タバコが美味い、今日も元気だ❗️


今朝は束の間の青空に誘われたものの、雲の流れが目まぐるしく
折り返し地点で米粒大の雪の塊が激しく叩きつけるように降り注いできた。
土手の道路は見る見る白く雪の白粉で清楚な美しさに変貌
火照った体に激しい雪の礫も冷たい川風もいたって心地よいもんだ

激しい雪の礫を浴びつ、タバコを吸いつ、円山川の景観を望洋と見ていた。
「よしっ、何とか探そう」きっと探し当てるはずや!



四人の男子を育てた。
自分の子は何をおいても愛おしく可愛いもんやった。
普通の親なら、コレ当たり前。

自分の子は止めどとなく愛おしいのに
元来、子供とお年寄りははなはだ苦手なオレ。
ところがそんなオレが昔からガキ共に慕われすかれる。
これってメッチャ煩わしく迷惑やねんな。
そやからそんなシーンの中に身を置かないよう極力つとめてきた。


長年大阪でBARを営んできた。
BARやから苦手な子供もお年寄りも日常はぼぼ縁がない。
それでも時折お年寄りのお客さんもくる。
加えて生まれた赤ちゃんを見せにきたり、
成長していく我が子を見せたがるお客さんも稀ではない。

ワシ、そんな時マジ戸惑うぜよ
親は「ほらっ、可愛いやろ」って言うけど、えっどこが?
ま、こんな親バカ普通に居るよね


信州木島平スキー場でロッヂを9年間やった。
キャパ70人のロッヂは日本一巨大なログハウス
スキー場故に家族連れと子供も多い
広いログハウスの中をさながら遊戯場のように
走り回ったり暴れ回ったり、危ないんやな
「コラーッ、お前ら走るな!静かにせんか!」って怒ったもんや


30人ほどの団体さん。友達同士がそれぞれ家族同伴
若い親と子供が半々。低学年の子供たち群れで騒ぎ出す
それを見ている親たち「おっちゃんに怒られるよ」

その夜、親たちと飲みなながらあろうコトか親たちに説教
「おっちゃんに怒られるよとはどういうコト?そうではなく
走ったら危ない。第一他のお客さんに迷惑やし大人しくね。
と、何で親の口から諭してやれへんねん。ほな、なにか、
オレが怒れへんかったらいいの?そんな主体性のないコトで
ちゃんとした子育てできるの。あかんコトは親が直に諭したり
怒ってこそホンマの愛情ちゃうん?」

若いお母さんたち「すいません。これから気をつけます」
それからワイワイ深夜まで仲良くのんだね。


昨年の九月ごろ、お泊まりもなくBARにお客さんもなく
PC相手に独りちびちび飲んでたら、確か八時を回った頃
子供2人連れた親子四人さんがご来店。

わっ、子連れや!内心小さく舌打ち。
小学低学年のお兄ちゃんに未だ幼児の弟、若いご両親。
朝食付きだけのお泊まりで夕食は外でと、けどどこも食べる店がない。

宿は城崎温泉の一番奥の歩けば30分近くかかるとこ
街山荘は城崎温泉の入口。
そやから端から端まで幼い子を連れて探して歩いて
街山荘、発見❗️やっとメシにありつけるって訳
こんな観光のお客さん珍しいないねん
んで、一緒に飲んで騒いで仲良くなり次は
街山荘にお泊まりで来てくれはるお客さんも増えた


何や、食事だけかいなと思ったらご夫婦揃って呑みはる
ほな、ワシも一緒に呑もうと料理出して同席だすわ
本来、子連れは敬遠するオレやのにこの夜は様子がちごうた。


料理ができるたびに運ぶ。当たり前やね。
その度に弟の方が何やかんや話しかけてくる
言うコトが一々こましゃくれてつい相手して笑わされる



同席して一緒に呑み始めたのはオレの中に革命的な変化が
親たちと言うよりこの子達と喋りたい遊びたい


弟はガチャガチャ色々喋りオレを笑わせる
その弟をお兄ちゃんはニコリともせず冷ややかに冷めた目で
そのコンビネーションがメッチャオモロかって
約三時間、ご両親より子供たちとほとんどふざけ合ったわ
名残惜しく日付が変わる前にお宿に帰っていきはったわ
「絶対、よしおちゃんとこに泊まりにきますよ」別れの言葉







家族が帰った後、独りでぼーっと飲んでで「あっ!」
名前聞くのん忘れた。いや、聞いたかもしれんけど思い出されへん
連絡先も聞いてない。ましても住所も、、、、
えっか、絶対来てくれる言うてはっはからそのうち来てくれるやろ


秋が終わり冬に入り、師走を迎え正月が過ぎ間も無く春が
その間、ずーっとあの子らに会いたいと思い続けてる

あの子らに会ってオレの子供への感覚が180度変化した
子供を見る目がこれまでなかったものに
そばに来たら煩わしい鬱陶しいと思ってたのが
気がついたら微笑んで和んでいる


昨夜も温泉で三歳ぐらいの女の子が
お父さんに絡んだりダダこねたり
今までならそれすら鬱陶しいのがニコニコ見てるオレ
その子が最後に着替えて赤ずきんちゃんのような
フードを被り鏡の前で「キャオー」と叫んで飛び上がった

オレは思わず「ぷっ」と吹き出し小さくケラケラ笑うてしもた
ああ、あの子らに会いたいな〜深いため息
どなたかこのご家族に見覚えないですか

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