2015年3月28日土曜日

深夜の説法

ダダッダダと迫力のない構えで走り去る
しんがりが変テコな忍者やって、なんとその中に縄文人が居たぞ!

先週末も15人のお客さんで満室になった。
今年の特徴として男子の団体と家族連れが多い
この日も遥々徳島県から五人様の家族連れ、
男子四人、男子二人、女子二人、カップル一組ときた

家族連れと男子四人は一杯切りほとんど飲みはれへん
女子二人と男子二人を向かいあわせにした
どちらもぼつぼつ飲みだしぼつぼつ話だし
静かながらそこそこ盛り上がった
大テーブルにはその横に男子四人

「よしおちゃん、料理はこれだけ?」
「うん、そやで」
「ほな、足らへんかったらメニューの中から注文せなアカンのん?」
「ま、そうやけど、普通にお腹いっぱいになるで」

今回も段取りがモタついで出す順序が逆になってもうた。
それでも時間差はほとんどなく出したんやけど
男子四人のところが最後になって彼らは先に鍋から始めてた

大学の卒業旅行。食い盛り。出揃うまで待ってられへんかった。
見ると鍋はほとんど空っぽ状態やん!
「ちゃうで、メイン料理は今出すとこやねん」
ボリュームあるタンドリーチキンとデッカイソーセージ
彼らの顔に安堵と喜びの表情

カップルさんだけが飲み放題、こんなん初めてや
この彼女、よう飲んだ❗️
ほんでオレとケンカしながら仲良しになって
けど、飲み過ぎて日付が変わる前に彼に連れられてお部屋へ

日付も変わらん内に早々に一人になったオレ
こんなんあんまりないで、拍子抜けもエエとこやで
片付けややる事はいっぱいらるんやけど、飲みたいやん
ま、チョッと飲んでしょうおまへん、片付けでもするか

とそこへ温泉にでも行ってたのか徳島の家族連れがもんてきた
もんて(徳島弁で帰って)
お兄ちゃん二人はすぐに部屋に上がったが
ご両親と高二の女の子はソファーでオレと談笑
やがてご両親も寝ると立ち上がったが女の子は未練顔

「わたし、寝られへんねん」
「寝られへんかったら又降りておいで。よしおちゃんとお話ししよう」
ほたら、すぐに降りてきた。
高二の女の子とマンツーマンでっせ
ジュースを出してあげチョコレートも
徳島のコトや学校のコトとか聞いていた
実はオレのルーツも徳島県。両親が徳島県生まれの育ち
何かと話が弾んでね

と、そこへ一旦は寝たはずのカップルが降りてきた
「もう、せっかく高二の女の子を口説いていたのに〜」
カップルも一緒に飲み出した。ピッチが早いぞ!

つづいて男子四人の内二人が降りてきて輪に入った
二人も一杯ずつ注文したが下戸でその一杯を最後まで

お嬢さん、オレがタバコを吸うのはニッコリ認めても
彼には俄然厳しく「吸うんやったら外へ行って」素っ気ない
可哀相にその度に外へ、遂にはトイレの廊下へ灰皿を持っていった

若者の一人の顔が濃い
沖縄か?「どうなん?」本人、連れに聞く「うん、そう」
何を聞いても連れに聞き連れがしたり顔でとぼけた答えをする
エエ加減なこのやり取りに皆笑わされっ放し

で、オレが「だいたいこの手の顔は沖縄とアイヌの顔やね」
何でアイヌと沖縄の人の顔が似てるかちゅうと、
歴史で縄文、弥生って習ったやろ
縄文人が原日本人でそこへ弥生人が入り込んできた。
有力な説では弥生人が縄文人を長い歴史の時間で南北に追いやった
琉球とアイヌがそうで、以来日本人はこの二つの民族を虐げてきたんや

今は日本国籍を持って日本人なんやけと、
北海道ではアイヌはまだまだ差別を受け
沖縄は未だに日本の犠牲になってるやろ

ま、こっちに居ったら平和でな〜んも分からんと呑気なもんやけど
今沖縄の人たちは基地を無くそうと頑張って闘ってんねん
そういう事をな、若い人たちがもっともっと知って行かなな

酒が回ると、まぁいつものクセですわ
クセというよりも、思いがそうさせるんやね
昔からよく言われてる。客商売で政治の話をしたらアカンって

そやけど、オレはちゃうねん
昔から自分のささいな信念やけど話すときは話す
戦争したらアカン。差別を許したらアカン。搾取もアカン。
当然、原発なんかとんでもない!
福島の処理ができず、東電も政府もウソばっかりついてる
汚染漏れが極めて深刻やのに政府の発表を鵜呑みにして無関心が多過ぎる
なんてね

深夜飲みながらこんな話を毎回のようにチョコチョコやるんやけど
ほとんどの場合皆さん乗ってきますんや
この夜も六人で冗談も交えて二時頃まで喋った
一番熱心に耳を傾けてたのが高二の女の子

二時頃になって階段を降りてきたのがお父さん
「もうねよか」娘がいつまでも帰ってこないのが心配
で、皆もそろそろ寝ようとお開き
オレは片付けや洗い物で寝たのは4時頃かな

朝、「娘がお世話かけました」ニコニコ丁寧に言うてくれたぞ
バラバラの朝食が済んでコーヒー飲んだら、さぁお別れの時間
毎度のことやけど別れが名残惜しい
それぞれが皆んなまた来ると言うてくれはる

若者四人がゆっくりして昼過ぎまで酒も飲まんと五人で盛り上がった
いやいや、オレだけは仕事も一段落したことやし発泡酒3本
いよいよ帰り際、玄関で
「よしおちゃん、実は」声を潜め「俺ら忍者やねん。見せたるわ」
そこで、ダダッダダと忍者?を真似てかけて行き
「さよなら、また来るで」





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