2016年11月12日土曜日

オレの新作『征生男 ゆきお 惜春』が出来たぞ〜

よしおちゃんは今日もいっぱい働いたぞ
その前に朝寝をいっぱい、起きて鍛錬もいっぱい
鍛錬、最近調子がエエ、一時間半から二時間はやる

脊髄損傷の後遺症に寒さが容赦なく襲ってくんねん
そやから、先日病院に行ったけどラチがあかへん
結局、絶えず体を動かして血の巡りを良うするんやと

10年以上かけてきたかた、懸案の八冊目の著書が出来た
小説『征生男ゆきお 惜春第1章』
コイツは全く一人で印刷、製本とやったぞ
脱稿してほぼ10年以上になるかな
今夜はメッチャ達成感があるのだ

それに、よしお自慢のチキンハムも久しぶりに作った
う〜ん、美味い。我ながに天晴れ👍

明日は10人のお泊りさん、頑張るぞ〜〜


小説『征生男ゆきお 惜春』は多分、オレの生涯の代表作になる
絶対、何かの賞を取ったるさかい💪
現在、限定50冊。既に予約で明日から発送なのだ
送料込みで1200円。早い者勝ちでござる
ぜひ、ご購読を。では、内容をチョッとピックアップ

『征生男 惜春 第1章』

オレンジ色に輝き大きく膨らんだ夕陽が、正に沈もうしている方に向かって駆けた。ダッシュする身体に風が当たり脇に流れる

窓からの陽射しが教室の壁を斜めに仕切り明暗をクッキリ浮かびあがらせ、人気のない室内でたった一人きり闘いの序曲を奏でているような。深く息を吸い吐き、胴振るいをして、肩を回して筋肉を解した。

大阪の大正区。工場と煤煙に煙る下町。貧困と差別と如何わしさが、腐った魚の腸のようにむせる下町

一人に多勢。味方は全て逃げた。いや、初めから味方なんて居なかった。

裸電球の淡い灯りの下、布団を数枚敷き詰めた上に一人の少女を囲んで数人の少年。皆、征生男と同年齢。勝之もその中に居た。タバコの臭いに汗と男女の精液の臭いがムッと鼻をつく。少女はほぼ全裸。少年の半数も全裸に近い。性遊戯の濁った絵巻

二人の前にきたウエイトレスが「いらっしゃいませ」を全部言い切らないで「いらっ」まで口にして征生男の目と合った。一瞬どちらの目も更に見開いて静止。
「アッ」と声が出たのはどちらか、いや同時に。

全てを征生男に密着させながら二人で征生男の衣服を意図も簡単に剥ぎ取り全裸にさせた。女の手が征生男の全身を這い回り、交互に唇を求めてくる。征生男の顔面は二人の女の唾液でべたつく。充血してそそり立つ征生男の男自身を口に含み巧みに舌を動かす

パチン。高野の平手が征生男の頬に飛んだ。淡い灯りの狭い空間に疑念と屈辱が弾けた

度重なる今となってはこの教育指導の無能さをさらけ出す教諭を徹底的に潰すと決めた。クラスの仲間全員に英語の時間は遅れるように指示を出した

切ないと思えば負けなんや。踏ん張る。敗北こそ惨め以外の何物でもない。闘いが、心の闘いが立ち塞がり孤独な切なさが離れない

誰が何を仕組んだのか、夜の妖精の悪戯なのか、冬の夜気の冷たさの中に一瞬火が点いた。小さな炎が熱く燃え出していた。 閉じた瞼には闇しか写らぬのに燃える赤い赤い炎に包まれて照美の唇がピッタリ征生男の唇に重なっていた。 

どっぷり赤い血。自分の赤い赤い血が。ドボドボと出てきた。
痛いはずが、この瞬間に噴出した猛る感情で痛さも恐怖さえも払拭させていた。こんなに血が出てくる。妙な感じだ。血は赤いんや。自分の血も赤いのだ。 

突然、腹部に鈍痛。サングラスの男がエナメル靴の先端を横合いから喰い込ましてきた。「ウッ」と前屈みになった時、視野の上部からビール瓶が垂直に降りてくる

次の瞬間もの凄い速度でコンクリートの地面が迫ってくる。刹那、征生男は体を少し捻り右肩を地面にむけた。右肩が地面に激突するや否や間髪を入れず更に体を捻って受身をしてクルッと立ち上がった

連行、強制連行ってどう云うのか、日本は明治維新で富国強兵を推し進めたと言うのも歴史でなろうたやろう。要するに天皇の主権の下に軍国主義になって隣の朝鮮を侵略して植民地にしてそこの人達を奴隷として無理矢理連れて来たんや

どんだけ正しい事でも押し付けたらアカンと思ってる訳や。押し付けてな押し付け通したらな、受け手の自主性とかちゃんとした考えが押しつぶされて思考の軟禁状態になって本音を全て隠されてしまうと思ってるねん。

「そんなん言うたらアカン。この頃の征生男を見てたら何か怖いねん。お兄ちゃんみたいにいつかメチャメチャやられそうで」 

 照美を視る。歌子が浮かぶ。自分の体の隅々に歌子の臭いが浸透してると思う。その自分を照美に重ねるなんて許されないのだ。それが抜けきるまで照美には触れられない

何かとてつもなく長い闘争に身を置いているような錯覚で征生男の精神は鬼神のように凄惨で残虐なものが漲っていた。 

警棒をかざし振り下ろす黒い集団。赤旗の竿を横に突き出したりプラカードで防戦するデモ隊の一部が目に飛び込んで来た。征生男の体は自然に前のめりになって前方にのり出した。 

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