飲みにくるお客さんは9時、10時を過ぎんと現れませんな
何故ならば
地元の人達は昨年の夏頃から申し合わせたようにピタッとこんようになった
申し合わせたようなでなく、明らかに申し合わせたようで
どういうコトなのか村八分的に追いやられているようで
それはあくまでも地元の人達であって
城崎温泉で働いている若い人達はそこそこ来ていただいてますよ
働いてる若者は派遣が多く、出身も色々
それに安定を目指すより自分に忠実な生き方を模索してる人が多いから
話も多様で前向き明るい人が多数かな
ただ、派遣やから期限があって
親しんだ頃には居なくなるのが寂しいね
その都度、お別れ会で盛り上がったりして
それに、観光のお客さんも一日に一組は何とか
この表の店構えを見て来て頂くお客さんは例外なく良い人ばっかり
ログの趣に魅せられ、漏れてくる音楽に惹かれ、メニューの安さにも惹かれ
そのほとんどの人達と瞬間で打ち解け仲良しになりますな
仲良しが高じて次はお宿『街山荘』に泊りにも来てくれる人が増えてきた
昨年の暮れにやっと旅館の許可をとって
晴れて表にもお宿の看板を上げると
飛び込みのお泊り客もチラホラ来てくれます
昨夜とて、近々ビリヤード設置のタメの工事を始めかけた時
入り口の方で誰か訪ねてきた声がした
その前に工事とは
一階のBARの横に15畳の広間があって、ほとんど使わへん
かねてよりビリヤードを入れたいのがオレの希望であって
寄寓にもあるお方からいただくコトになって
今月の中頃に静岡県藤枝市まで頂きに行かねばね
で、場所の取るビリヤード台を設置するにはこのままでは無理
そこで、横の広間を半分に断ち割って店との壁を取り除き
要するに店のスペースを大幅に広げる内装工事なのだ
全くね、オレって言う性格は初期貫徹できず次に飛んでしまう
なまじっか自分で工事ができるもんやから
つい次に動いて、結局は常に何かを造り続けてしまいますな
ほんで、昨日初めてその工事にかかろうとしたら入り口で人の声
20代後半くらいの青年が外からの光の逆光を背に立っていた
「今夜、ここで泊れますか」
もちろん、どうぞどうぞ。時間を見るともう夕方の5時っすわ
駐車場まで案内して
とりあえず温泉に行ってゆっくりしてきて下さいな
その間にお部屋と夕食の用意をさせてもらいます、てなコトで
突然の泊り客に工事は急遽中止、さて夕食は何にするかな
3日前にも夜の11時ころ、50代くらいのご婦人が突然お泊りに
お宿の看板の効果はなかなか捨てたもんとちゃいますな
青年は温泉に行って帰ってきたのが8時を過ぎていた
何と三軒も温泉めぐりをしてきたとさ
夕食を出すとビールもご注文
大阪は箕面市で、豊岡まで仕事に来てそのまま帰っても良かったが
せっかくやから城崎温泉で一泊してみようと宿を物色したが
何処も満室で、それに高い。
城崎温泉の宿は週末何処も満室やのにオレんチだけは泊り客ゼロ
自分も木が好きでログハウス調の表構えと一泊二食6500円の安さに惹かれたと
仕事も旅も一人で行動するコトが多く、今年で30才だと
今日、3月2日と言えば、オレの末息子の誕生日。30才。
その青年も30才。名前が竜也(たつや)。息子の名前が龍実(たつみ)
これって何か因縁めいて何かの縁やで
オレの息子は今は三人居るけど皆大阪でこの城崎にはほとんど寄りつかへん
妻は何年も前にオレを見限って去って、オレは独居老人
青年の親父さんは沖縄で両親離婚して別々
二年前に沖縄に行って親父さんに会ったけどケンカ別れしてそのまま
そやけど、いつも気になりその内仲直りしたいが意地が先に立つと
オレも息子たちにこちらから城崎へ来いとは意地でも言わへん
そやけど今日は末息子の誕生日、気にはなるし会って話もしたい
男同士の父子って意地の張り合いでホンマに窮屈やと二人で笑った
ほな、今夜は親父代わり息子代わりで飲もうかってコトになりましてな
天井に貼り付けてあるチェ・ゲバラの写真を見て更に話が弾んだ
今時のこの年齢には珍しくゲバラの本はいっぱい読んだと言う
貧困、搾取、抵抗、革命と話は尽きず
差別にも言及して沖縄の現状やアイヌ民族についてもオレの講釈にも耳を傾け
日本の戦争責任から天皇、自衛隊、米軍基地にも多く語り合った
ところで彼女は居るん
いえ、今は一人の自由を満喫したいんです
んなコト言うてもエエ子が居ったら飛びつくんちゃうん
ま、それはそうですけど、そんな子と二人で世界を旅したいです
そうやねん、オレの夢も世界放浪の旅やねん
他にお客はなくマンツーマンで深夜まで語った
そして、竜也くんはオレの著書『山麓の炎(ほむら)』も買った
記 原田 譽志男(よしお)
よしおさ~ん♪
返信削除暖かいご飯に、布団、美味しいお酒ありとうございました♬
また、フラフラっと立ち寄るのでこれからも、宜しくお願いします
竜也くん
削除また一つ良い思いをさせてもらったよ
また会えるのを楽しみにしてるからね