確かに見覚えはある
それでも確たる記憶はない
「久しぶりです。いや〜4年ぶりですかね」
180cmは越える長身の男子、連れ合いの女子が
「あれから直ぐに結婚したんです。ほんでもう直ぐ子供出来るんです」
夕方の6時を少し回ったとこで店の片付けが出来てへん
ヤフオクを始めたとこで荷が散乱している
オークション出品のタメ朝から撮影を続けていた
ビリヤード台は物置と化していた
オフシーズンお客さんは来る訳ないの前提で
この時間店内は正に作業場であった
「えっ、四年前泊まってくれたん」
「そうです。どこにもアポ取らんとふらっと来たら此処しか空いてなかって泊まらしてもらいました」
顔はうる覚え、名前を聞いたらそれは確り覚えていた
夜の9時頃飛び込んで来て食事は作れないと言われたと
そんな訳ない、絶対何か見繕うはずや
そう言えば何か食べたかも
そやけどもうベロベロに酔おてもうて
奥さん、来月が臨月。割には小さいお腹
奥さん27、旦那さん29。若い夫婦
旦那さんお酒もタバコも大好き
けど、奥さんはタバコの匂いもイヤときた
旦那さん換気扇の下で遠慮勝ちに喫煙っす
旦那さん、オレの勧めで飲む気充分になり
オレのチャリで宿までカネを取りに行った
同じペースでオレも飲み始め
予定してたオークションの仕事は先送り
来てくれただけで嬉しいではござんせんか